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講演する米倉教授
経団連は12月14日、東京・大手町の経団連会館で、企業が学校の教育現場に直接入り、学校と連携して、これからの時代を生き抜く力を持つ子どもたちを育成していくことを目的として、「経団連教育支援フォーラム」を初めて開催した。当日は、企業関係者や教育界、教育支援NPOの代表等、約170名が参加して活発な意見交換を行った。
まず、経団連の教育問題委員会企画部会長である岩波利光NEC特別顧問の開会あいさつの後、一橋大学イノベーション研究センターの米倉誠一郎教授から、「すべての主体による新しい社会イノベーションのかたち」をテーマとした基調講演があった。
米倉教授は、明治政府が教育に力を入れた結果、戦後の高度経済成長が可能となったことなどを踏まえ、日本経済が「失われた20年」の長期景気低迷に陥った原因は新技術や教育への投資の怠慢にあるとし、科学技術イノベーションを通じて教育投資と成長戦略を両立させていくことの重要性を指摘した。
■ 企業、NPOが教育支援プログラム事例を紹介
引き続き、四つの教育支援プログラムに関する事例紹介があった。
特定非営利活動法人 Teach for Japan の松田悠介代表理事からは、教育格差の是正を目指し、教育課題を抱える地域に、成長意欲が高く情熱のある学生や若手社会人を教師として派遣し、学習指導を通じて子供たちの学力や学習意欲の向上に努める取り組みが紹介された。続いて、教育と探求社の宮地勘司社長からは、企業でのインターンシップを教室で体験し、企業活動に触れながら働くことの意義や経済活動についての理解を深める同社の教育プログラムについて説明があった。さらに特定非営利活動法人クロスフィールズの小沼大地代表理事からは、企業で働く人材が新興国のNPOに赴任し、本業のスキルを活かして現地の人々と協力しながら現地の抱える社会課題の解決に取り組む「留職プログラム」について紹介があった。最後に、日本アイ・ビー・エムの川嶋輝彦社会貢献担当部長から、同社の理科教育やキャリア教育をはじめとする教育支援プログラムについて紹介があった。
その後、経団連の教育と企業の連携推進ワーキング・グループの座長を務める小川理子パナソニックCSR社会文化グループ・グループマネージャーをコーディネーターとしてパネル討議が行われ、会場の参加者からの質問も交え、活発な意見交換が行われた。
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企業関係者、教育界、教育支援NPO代表によるパネル討議
【社会広報本部】