経団連のウクライナ部会(岡素之部会長)は14日、都内でウクライナ対日経済協力調整協議会(ペトロ・ポロシェンコ経済発展・貿易大臣が会長を務める)と、第4回日本ウクライナ経済合同会議を開催した。
ウクライナ側は約25名が、日本側から約60名が参加し、両国の経済情勢と経済発展戦略を説明するとともに、有望分野における事業機会、二国間経済関係の強化に向けた日本ウクライナ投資協定の重要性等をめぐり、活発な議論を行った。
ウクライナ経済は堅調、経済の多様化に意欲
ポロシェンコ会長から、「ウクライナ経済は順調に推移しており、今年はこれまで5.3%と予想を上回る成長を達成している。インフレも抑制され、国民収入、消費需要ともに増大している」との説明があった。また、今後産業を多様化すべく、外国投資の誘致に積極的に取り組んでおり、保護主義の排除、WTOルールに調和した政策、外国投資家の保護、ビジネス環境整備を推進し、投資家が安心して活動できる体制を整備していることが強調された。欧州への統合については、これを継続していく旨の言及があった。
省エネ等有望分野における日本との協力推進に期待
ウクライナは石油・天然ガスの輸入依存度が高く、エネルギー効率の向上が喫緊の課題となっている。そのため、優れた省エネルギー技術・製品を有する日本企業との協力に強い関心が表明された。日本側からは、高効率発電や再生可能エネルギー技術を紹介した。双方は、最近のグリーン投資スキーム(GIS)に基づくプロジェクト実施に向けた取り組みを評価するとともに、引き続き、こうした分野における協力推進の可能性を探っていくことで一致した。
また、ウクライナ側から、シェールガスや天然ガスなど、新たに発見されたエネルギー資源の高い潜在力について説明があったほか、農業分野への日本からの投資、農産品の対日輸出の拡大について期待が表明された。日本側からは、高度な技術を活用した、天然ガス関連事業や鉄鋼業の生産性向上における協力について提案を行った。
インフラ整備分野では、ウクライナ側から、PPP(官民パートナーシップ)によるプロジェクトの紹介があり、今後、旅客輸送システムの整備や環状道路、橋梁の建設等において日本との協力の推進に意欲が示された。日本側からは、ウクライナのビジネス環境に関連し、港湾や鉄道等の輸送インフラ整備、税関業務の円滑化の必要性を指摘した。
また、双方は、観光分野におけるウクライナの多彩な魅力を確認し、ウクライナ側からは、将来の直行便の就航の可能性について言及があった。
日ウクライナ投資協定の早期締結の重要性を共有
昨年9月、両国政府は二国間投資協定交渉を開始し、現在協議が継続している。双方は、投資の保護・自由化を含む高水準の協定の早期締結が重要であることについて一致し、同協定によって、二国間経済交流のさらなる拡大と深化がもたらされるとの認識を共有した。
【国際経済本部】