地球温暖化の防止に向け、経団連ではすべての主要排出国が責任あるかたちで参加する、公平かつ真に実効ある国際枠組の構築を求めてきた。昨年の国連気候変動枠組条約第17回締約国会議(COP17)では、すべての国に適用される法的効力を有する新たな枠組を2020年に発効させることが合意されており、高く評価できる。
今年11月末から12月初旬にかけて、カタール・ドーハでCOP18が開催されるのを前に、経団連は16日、「COP18に向けた提言」を取りまとめ、公表した。概要は次のとおり。
■ 地球規模の温室効果ガスの削減に向けて
世界全体のエネルギー需要がさらに増加するなか、温室効果ガスの排出を抑制しつつ、持続可能な発展を実現するためには、先進国、新興国、途上国を問わず、省エネを進めることが有効かつ不可欠である。わが国のGDP当たりのエネルギー使用量・二酸化炭素排出量は主要国のなかで最小であり、持続的な発展に向けた一つのモデルになり得る。今後とも、世界最高峰のエネルギー効率を堅持・強化していくことが必要である。
■ 早期の具体化が求められる仕組み
世界最高水準のエネルギー効率を誇るわが国産業界の技術・ノウハウ・製品が海外に広く普及・活用されれば、地球規模での温暖化防止に大きく貢献することができる。そこで政府には、産業界のポテンシャルが十分に発揮されるとともに、わが国の国際的な貢献が適切に評価されるよう、技術移転、資金協力に関して多様な仕組みづくりを通じた支援を期待したい。
特に、現行の国連クリーン開発メカニズム(CDM)の手続き面等における問題の改善に取り組むと同時に、日本政府が各国と協議を進めている二国間オフセットメカニズム(注)で簡便性、客観性、実用性を確保することが求められる。
なお、実際の排出削減に資する仕組みづくりのためには、個別の削減プロジェクトの実行主体である産業界の意見を十分に反映させることが不可欠である。
(注)二国間オフセットメカニズム=二国間協議のもとで途上国側のニーズを勘案しつつ省エネ・低炭素化プロジェクトを形成し、技術移転の結果として実現した排出削減の一部をわが国の貢献分として評価する仕組み
■ わが国中期目標に対する意見
政府のエネルギー・環境会議で策定された「革新的エネルギー・環境戦略」(2012年9月14日)には、省エネや再生可能エネルギーの導入量の実現可能性をはじめ、さまざまな問題がある。政府は現実的なエネルギー戦略をあらためてつくり直したうえで、国際的公平性、実現可能性、国民負担の妥当性を踏まえて中期目標の検討を行う必要がある。
【環境本部】