経団連(米倉弘昌会長)の起業創造委員会(荻田伍委員長、大久保尚武共同委員長)は4日、東京・大手町の経団連会館で、起業シンポジウム「オンリーワンで市場を拓く」を開催した。同シンポジウムでは、市場で高いシェアを持つオンリーワン企業の創業者ら経営幹部4名をパネリストに迎え、事業立ち上げの経緯から事業成功に至る過程・現状や今後の事業展開、わが国で起業するにあたっての困難、起業家として求められる視点等をテーマにパネルディスカッションが行われた。
開会あいさつ(荻田委員長)
開会にあたり主催者を代表しあいさつした荻田委員長は、わが国の持続的な経済成長の実現には、山積する課題に果敢に挑戦し、自らが日本経済の牽引役となる気概を持った「個性と魅力に溢れる個人と企業」の活性化が必要であるとしたうえで、同シンポジウムをきらりと光る技術、製品、サービスによって国内外の市場で活躍する企業の取り組みについて広く情報共有を図る場としたいとの期待を表明した。
事業立ち上げから今後の事業展開について各社の取り組みを聞く
「電解還元水整水器(アルカリイオン整水器)」の製造販売等で市場をリードする日本トリムの森澤紳勝社長からは、同社の強みのひとつである独自の特許技術の利用拡大に向け産学共同研究を積極的に推進しており、医療、健康維持、農業、畜産等の分野における課題解決に貢献していきたいとの紹介があった。
駐車場のマネジメント、リーシング、サブリースを中核事業とする日本駐車場開発の巽一久社長からは、不稼働資産の有効活用を通じた世の中への貢献に向け、ビル内の空き駐車場スペースの収益化のノウハウを活用し、近年はスキー場再生事業等にも取り組んでいるとの説明があった。
企業の福利厚生代行サービス事業等を手がけるベネフィット・ワンの白石徳生社長からは、「インターネットを利用したサービスの流通の創造」をコンセプトに、業界に先駆けてユーザー課金型のストックビジネスモデルを展開してきたことについて説明があり、今後サービスの格付け事業等にも取り組んでいきたいとの意気込みが示された。
アイウェアの企画・輸入・販売事業を展開するジェイアイエヌの冨田晋輔執行役員からは、メガネ・サングラス等を低価格で消費者に提供するビジネスモデルを日本に導入し急成長を遂げ、その後JASDAQ上場後の不振を克服し、現在は機能性・デザイン性に優れたアイウェアの開発・提供を通じ新たな市場開拓に取り組んでいる旨、紹介があった。
起業・新規事業の立ち上げの推進策に関して意見交換
続いて行われたパネルディスカッションでは、わが国における起業の難しさとその要因について各パネリストの見解を聞くとともに、参加者からの質問を交えながら、起業家に求められる視点・センスとその磨き方、社内ベンチャー制度の課題等について活発な意見交換が行われた。
閉会あいさつ(大久保共同委員長)
大久保共同委員長は、閉会のあいさつのなかで、登壇した各社が、普段何気なく目にしている事柄を別の角度から注目し事業化につなげたことや、事業のさらなる拡大に向け人材確保にも熱心に取り組んでいることに感銘を受けたとしたうえで、業を興す者の育成には出る杭を伸ばす起業文化の醸成が重要であると述べ、シンポジウムを締めくくった。
【産業政策本部】