2日目に行われた特別セッションでは、来賓に仙谷由人衆議院議員、林芳正参議院議員を迎え、フジテレビの反町理政治部編集委員の進行のもと、新しい日本政治のあり方や日本政治の課題をめぐって意見交換を行った。
まず、仙谷氏が、「日本をギリシャ化してはならない。健全な財政がなければ、社会保障や公共サービスを持続的に維持していくことは不可能だ。また、『アラブの春』の教訓として、特に若年層の雇用確保に努めなければならない。さらに、昨年3月の東日本大震災により、震災復興と原子力発電所事故という新たな課題に直面した。これらのピンチをチャンスとしてとらえたい」と述べた。また、「日本はもう少し自信を持っても良いのではないか。東南アジアでは日本製品・サービスは憧れの対象となっており、日本は成長軌道に回帰できるはずである」「経済成長のための課題は政治とメディアだ。政治はメディアからの批判を受け入れつつも、メディアに迎合してはならない。政治課題の実現を常に意識し、実行のための議論を行う必要がある」「グローバリゼーションとIT化の進展により、政治本来の役割であるインテグレーションの作業が難しくなってきている。日本は衆参のねじれや、二院制といった国会の仕組みそのものに問題を抱えている。こうした点を踏まえ、議会政治のあり方を見直していきたい」との説明があった。
続いて林氏は、国の将来のあり方として、「経済では『GNI(注)大国』、外交では『太平洋の世紀』を目指したい」とし、「今後はGDPとGNIとの好循環を目指して、産業投資立国の道を模索していく。そのために、国際競争力のある製品が日本で創出されるような税制や、中小企業の海外進出を支援する政策を進める。また、分厚い中間層の維持という観点からは、製造業だけでなくサービス業や農林水産業も考慮しなければならない」と述べた。また、外交面について、「GNI大国の実現にはアジア太平洋地域の平和が欠かせない。目標は、ヒト、モノ、カネがグローバルで自由に展開する『グローバル・ハイウエー』だ。この実現のため、中国と日米同盟とのパワーバランスの変化を見極めながら、戦略的に外交を推進すべきである。特にここ5年間の対応が重要であり、中国と率直に意見交換し、皆でルールを決めて皆でルールを守る環境づくりを急ぐべきだ」とした。最後に、「政治の役割は目標を持って、中長期のあり方を示すこと。今こそ国としての方向性を打ち出す必要がある」と締めくくった。
その後の意見交換では、「国民の政治に対する不信感が高まっている。特に若年層の投票率は低い。若い世代の意見が反映されるよう、選挙でのインターネットの活用をはじめ、選挙制度審議会を開いて国民の意見を聞き、選挙制度を改革すべきだ」との発言を皮切りに、「グローバルリスクの高まりを感じるが、政治にその感覚はあるか」「6重苦を解消して、国内投資を促進し、GNI、GDPの両方を強化すべきだ」「行き過ぎた為替水準に対して断固たる措置をとってほしい」「日本はアジアの成長を取り込み、デフレからの早期脱却を目指すべきだ」「民主党は党全体として国家像、国のあり方を打ち出せていないのではないか」「批判合戦や足の引っ張り合いばかりが目立つ。大事なことは政策を決めて実行することだ」「成長戦略は自民党政権でも、民主党政権でも実行が伴わなかった。日本再生戦略も同じにならないようにすべきだ」といった意見が出された。
(注)GNI=Gross National Income(国民総所得)の略。GDPに所得収支(海外からの利子・配当などの純受取額)を加えたもの
【政治社会本部】