多くの深い悲しみと犠牲をもたらした東日本大震災から、1年4カ月が経過した。その間、全国の皆さまから、多くの励ましやお見舞い、そして数々のご支援をいただいた。この場をお借りして厚く御礼申し上げたい。
東北の観光産業の状況については、津波で被災した岩手・宮城・福島3県の太平洋沿岸の地域と、原子力事故の影響を受けた福島県の一部を除き、大きな被害を受けることはなかったが、風評によって東北を敬遠するという影響が今も続いている。
今年のゴールデンウィークにおいても、東北全体では震災前の観光客数に戻りつつあるが、個別地域で見ると、昨年の世界文化遺産に登録された「平泉」のように、大きく増加する地域がある一方で、落ち込みが顕著な地域も存在し、まだら模様になっている。
被災地は、復興に向かって歩み始めたものの、本格的な町の再生や産業の復興については、まだまだ時間がかかる状況である。被災地の復興には、今まさに人を動かし、経済的な即効性が高い「観光の力」が必要である。
現在、被災地では、買い物や食事ができる「仮設プレハブ造りの復興商店街」が続々オープンしている。また、旅行エージェントによる自治体・企業・団体・個人向けの視察・研修ツアーが催行されたり、被災した観光ガイドが「語り部」として、津波への教訓や命の尊さを伝えたりしている。参加者からは、被災者に寄り添う気持ちが、より高まるとともに、被災地の抱える課題もあらためて理解されたようだ。
こうしたなか機構では、復興に一生懸命奮闘している被災者や自然の脅威・人の絆を伝える「語り部」との出会い・触れ合いを「復興ツーリズム」として、積極的にアピールしているところである。
その一端を「東北観光ポータルサイト」の「素敵な笑顔に出会う旅-復興ツーリズムビデオクリップ集」(http://www.tohokukanko.jp/feature/shun-tourism/)で紹介しているので、ぜひご覧いただきたい。
現在、観光庁の支援により、東北6県の28ゾーンを会場とする「東北観光博覧会」が来年3月31日まで開催されている。各ゾーンを博覧会場に見立て、東北全域が博覧会場となる非常にスケールの大きいロングランのイベントである。
東北の観光地でも、被災地でも「東北を訪れていただくこと」が復興への最大の支援となる。この夏は、素敵な笑顔に出会う旅「東北」へぜひお越しいただきたい。
◇ 問い合わせ先 東北観光推進機構(電話022‐721‐1291)