経団連は17日、東京・大手町の経団連会館で、海洋開発推進委員会総合部会(山脇康部会長)を開催した。当日は、経済産業省資源エネルギー庁資源・燃料部の森清・政策課長を招き、海洋エネルギー・鉱物資源開発の現状と課題について説明を聞くとともに意見交換を行った。
会合の概要は次のとおり。
■ 法改正の動き
昨年7月に公布された改正鉱業法が今年1月21日に施行された。国内資源を適切に維持・管理するため、鉱物資源の試掘や採掘に加えて資源探査も許可制度の対象とした。
2月10日には石油の備蓄の確保等に関する法律などの改正法案が閣議決定され、衆議院に提出されている。
まず、東日本大震災を受けて、石油の備蓄の確保等に関する法律と石油需給適正化法を改正し、海外からの石油の供給不足の場合だけでなく、災害による国内の特定地域の石油の供給不足の場合でも、石油の備蓄を放出できるようにする。
次に、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の設置法を改正し、石油・天然ガスや鉱物資源だけでなく、石炭や地熱資源の開発もできることとし、財政投融資特別会計の産業投資支出を活用して、天然ガスや金属鉱物などの開発のリスクマネー供給の強化を行うようにする。
■ 海洋エネルギー・鉱物資源の探査
今年2月から3月にかけて、愛知県から三重県の沖合において地球深部探査船「ちきゅう」がメタンハイドレート(注)を調査した。来年の同時期に産出試験を行い、2018年までにメタンハイドレートの商業化のための技術の整備を行うことを目標としている。
2008年3月から、三次元物理探査船「資源」がわが国の近海の石油・天然ガス資源を探査している。また、今年2月から新海洋資源調査船「白嶺」が就航しており、海底熱水鉱床やコバルトリッチクラストを調査している。
(注)メタンハイドレート=メタンガスと水が低温・高圧の状態で結晶化した氷状の物質。将来のクリーンエネルギー資源として期待されている
<意見交換>
山脇部会長が、「省庁の壁を越えて、全体として『資源』や『ちきゅう』の探査船の装置を扱う日本人技術者を養成すべきであると思う」と発言したところ、森課長は「特に『資源』は、海外から導入した船であることから技術者に外国人が多かったが、今は日本人が増えており、女性も活躍している」と答えた。
【産業技術本部】