経団連の日本トルコ経済委員会(釡和明委員長)は9日、東京・大手町の経団連会館でトルコ海外経済評議会(DEIK、トゥンジャイ・オズィルハン・トルコ日本経済委員長)と、第19回日本トルコ合同経済委員会を開催した。
トルコ経済省のジェマーレッティン・ダムラジュ次官補を来賓に迎え、日本側から大塚陸毅経団連副会長・観光委員長をはじめ約100名、トルコ側から約50名が参加し、両国の経済情勢と貿易・投資戦略、日・トルコ経済連携協定(EPA)の重要性と展望、主要産業における事業機会について活発な議論を行った。
トルコの経済情勢と貿易・投資戦略
トルコ側は、最近のトルコ経済情勢について、政治の安定を背景に、2011年のGDP成長率は8・5%を記録するなど堅調であり、主要貿易相手である欧州の経済情勢に懸念が残るものの、中期的に持続的な成長を遂げるとの見通しを示した。
また、トルコは地政学的に重要な位置にあり、欧州はもとより中東・北アフリカ、中央アジア、ロシアなどとも密接な経済関係を構築していると説明。投資について、トルコは開かれた市場であり、4月5日にエルドアン首相が発表した外資誘致策によって外国企業へのインセンティブを一層充実させるなど、さらなる外国投資誘致の実現に意欲を示した。また、トルコに周辺地域ビジネスの統括拠点や生産拠点を設置すれば、トルコのFTA(自由貿易協定)ネットワークを活用して、日本がFTAを持たない国との貿易を関税面等の恩恵を享受しつつ円滑に実施できるとして、さらに多くの日本企業がトルコに進出することへの期待を示した。
日・トルコEPAの重要性と展望
日本側からは3月21日に公表した提言「日・トルコEPA交渉の早期開始を求める」(3月29日号既報)の概要について説明するとともに、日本企業の同EPAに対する期待ならびにトルコの事業環境改善に向けた課題と要望を伝えた。
これに対してトルコ側は、政府、民間ともに日トEPAの一刻も早い締結を支持していることを強調。同EPAによって日ト間の貿易不均衡(日本の輸出超過)が是正され、日本企業の対トルコ投資が拡大することに期待を表明した。双方は、包括的で高水準なEPAを目指すことで一致した。
主要産業における事業機会の開拓
これまで日本企業は、多様な分野でトルコビジネスを展開してきている。これを踏まえ、インフラ、環境・エネルギー、電機・電子、観光、食品、金融などの産業分野における協力の現状と展望について双方からプレゼンテーションを行い、トルコ市場はもとより、周辺諸国市場をも包含する事業の高い潜在力をあらためて確認した。また、インフラでは、トルコ側から、イラクにおけるエネルギー・建設分野での日ト協力の可能性について言及があった。さらに、日本側から衛星通信、トルコ側から自動車・自動車部品、中小企業協力について説明するなど、両国代表団は、今後の一層の経済交流の拡大に向けて議論を深めた。
【国際経済本部】