2025年4月、いよいよ大阪・関西万博が開幕する。世界中から多様な主体が集い、幸福を実感できる未来社会の姿を共有する壮大な試みに、大いに期待したい。
一方で、現実の国際社会は協力よりも対立・分断が進み、マルチラテラリズムが風前の灯とも思える状況だ。そのような中で、SDGs達成度を示した国連の報告書によると、2030年に向けて順調な目標はわずか16%しかなく、残りは達成不十分か後退している。果たして日本はどう貢献できるだろうか。
一つ希望がある。日本は市民のSDGs認知度が90%超と世界一高く、特に若い世代に浸透している。小中高の学校教育において「持続可能な開発のための教育(ESD)」を学習指導要領に組み込み、体系的に教えてきたからだ。また、「国連持続可能な開発のための教育の10年(DESD)」は日本が提案したもので、SDGs目標4の教育に、ターゲットとして「読み書きそろばん」だけではなくESDを組み込んだのも日本の主張だった。
今、われわれが直面する社会課題は、気候変動との闘い、ネイチャーポジティブの実現、貧困・格差の解消と、途方もなく解決困難なものばかりだが、その解決を担うのはあくまでも「人」である。国境を超え、セクターの枠を超え、粘り強く果敢に行動する人材をいかに育むかが、問題解決の鍵だ。
そのような思いで、私が理事長を務めるSOMPO環境財団では「木を植える人を育てる」をモットーに、大学生・大学院生に環境NPO・NGOでのインターンシップの機会を提供するCSOラーニング制度を、25年間続けてきた。約1400人の若者が巣立ち、持続可能な未来のために各界で活躍している。
また、人づくりは学校教育で完結するものではない。重要なのは、企業において、持続可能な発展のための革新的なビジネスソリューションを生み出す力を持った人を育むことである。日本が示した学校教育でのESDの実績は世界の範とすべきものだが、同様にビジネスパーソンの育成についても、世界に誇れるものにしたい。
閉塞感が漂う社会だからこそ、持続可能な将来にワクワクとした気持ちが持てる社会の実現に向けて、イノベーションを起こし続けることが重要だ。企業は人への投資を加速し、主体性と情熱を持って多くの課題に挑戦し続ける人材を育成していく必要がある。