近年、地震、台風、局所的豪雨などの災害が頻発化・激甚化する傾向にあり、多くの地域で被害が出ている。また、南海トラフ地震、首都直下地震、中部圏・近畿圏直下地震や富士山噴火など、広域に及ぶ桁違いの大災害はいつ起きてもおかしくない状況にある。
こうした中、自然災害から国民の命や財産、暮らしを守るべく、国土強靱化を継続的・安定的に実現していくため、政府は2023年7月に新たな「国土強靱化基本計画」を策定した。これに先立ち、経団連は2023年4月、提言「大規模災害に負けない持続可能な社会の構築」を公表し、災害発生時の被害を最小限にとどめ、社会経済活動を維持するために優先的に取り組むべき課題を提示した。
月刊 経団連 2023年 バックナンバー
2023年12月号
2023年11月号
今、物流が危機にある。
トラックドライバーへの時間外労働の上限規制適用による輸送力不足への懸念、いわゆる「2024年問題」は、間近に迫っている。
こうした中、持続可能な物流を実現するためには、最新の技術の活用や商慣行の是正を通じて物流の効率化を図ることに加え、コストとして捉えられがちな物流を成長産業化させる取り組みが欠かせない。そして、物流事業者のみならず、荷主、一般消費者、政府も含め、物流に関わる全てのステークホルダーが、持続可能な物流に向けて自らできる第一歩を踏み出すことが何よりも求められる。
2023年10月号
少子高齢化・人口減少の急速な進行によって、人手不足感が強まり、社員一人ひとりの生産性向上が求められる中、企業は、付加価値の創出を最大化すべく、働きがい・働きやすさを高める施策を推進している。
とりわけ、今後は、男女がイコールパートナーとして仕事と育児等を両立できる環境を整備することが課題となっている。そのために企業は、働き方改革のさらなる推進とともに、各種両立支援の拡充、DE&Iの浸透やアンコンシャス・バイアスの解消など意識改革に注力していく必要がある。
サステナビリティが企業経営の重要課題となっている。企業の存在意義は利益創出のみならず社会課題解決への貢献にも重きを置くべきとの機運が高まり、企業経営へのSDGsの統合、ESGやインパクト等を踏まえた投資家との対話の促進など、様々な進展がみられる。
こうした中、広報部門には、サステナブルな社会の実現に向け、企業がどのように課題と向き合い、各ステークホルダーにどのような情報を発信し、共感を得ていくか(=サステナビリティ・コミュニケーション)が求められるなど、その役割が深化している。
2023年9月号
経団連は7月20、21の両日、軽井沢で夏季フォーラム2023(議長:佐藤康博副会長)を開催した。十倉雅和会長、冨田哲郎審議員会議長をはじめ副会長、審議員会副議長ら総勢39人が参加したほか、国内外から3人の有識者を講師に迎え、「資本主義の再構築と人材育成」を統一テーマに活発に討議した。
フォーラム終盤の特別セッションには、岸田文雄内閣総理大臣が登壇し、官民連携による「新しい資本主義」の実現に向け、経済界と共に未来を切り開きたい、との期待を示した。2日間にわたる討議の成果は、「経団連夏季フォーラム2023総括文書」として採択され、十倉会長・佐藤議長が岸田首相に手交した。
国際情勢が急激に変化する中、気候変動問題など地球規模課題は深刻の度を増している。新たな状況に対応すべく、2023年6月、日本政府は開発協力の指針を示す「開発協力大綱」を約8年ぶりに改定。その際、経団連は、経済界の意見を取りまとめ、公表するとともに、パブリックコメントに対応するなどしてきた。
複雑化する課題を解決し、持続的な成長を実現するためには、相手国・地域の政府・機関や民間企業、公的金融機関等との連帯・共創をさらに進めることが重要である。
本特集では、大綱改定の背景と今後のわが国の開発協力のあり方、関係諸機関の取り組みの方向性、開発協力に携わる日本企業の具体事例等を紹介する。
2023年8月号
コンテンツ産業は、創造性とデジタルの時代において高い潜在力を持つ成長産業である。日本はこれまで、漫画・アニメ・ゲーム等、世界のコンテンツ市場で高いシェアを誇ってきたが、世界的な競争激化の中、優位性を失う可能性がある。
こうした中、経団連は2022年6月にクリエイティブエコノミー委員会を新設し、2023年4月に提言 「Entertainment Contents ∞ 2023 ─Last chance to change─」 を公表した。同提言では、世界における日本発コンテンツのプレゼンスを持続的に拡大する、という目標を掲げ、人への投資が生命線であるという観点から、人材育成、海外展開、拠点整備など五つの具体的な施策を提示した。
2023年7月号
今次定時総会は、コロナ禍で講じていた会場内の人数制限を約4年ぶりに撤廃して開催され、会場に300人、オンラインで100人が参加した。総会では、新たに6人の副会長を選任するなど新体制を決定した。また2022年度事業報告および決算が報告されたほか、2023年度事業方針および収支予算を承認した。総会後に開かれた記念パーティーには、政界、経済界、各国大使館などから500人超が出席した。
近代以降、資本主義と市場経済が人類発展の礎となってきた。しかし、行き過ぎた株主資本主義と市場原理主義への傾注が、地球環境や生態系の破壊、格差の拡大・固定化・再生産といった様々な社会課題をもたらしている。さらに、我が国は、経済の低迷や、少子高齢化・人口減少の加速といった構造的な課題も抱えている。
経団連では、こうした様々な社会課題を解決するとともに、日本経済を再び成長軌道に戻すべく、「サステイナブルな資本主義」を掲げてきた。深刻な社会課題のうち、生態系の破壊については、2022年5月に「グリーントランスフォーメーション(GX)に向けて」を取りまとめるとともに、官民で取り組む枠組みができている。
そして今回、最大の課題の一つである格差問題の解決と、持続的な経済成長の実現について検討を行い、2023年4月に報告書「サステイナブルな資本主義に向けた好循環の実現」を取りまとめた。
2023年6月号
経団連は4月19、20日の両日、東京・大手町の経団連会館でG7ビジネスサミット2023(B7東京サミット2023)を主催した。B7サミットは、G7各国・地域の主要経済団体が一堂に会し、世界情勢やグローバルな課題について議論を行い、G7経済界としての意見を発信する場である。経団連からは、議長を務めた十倉雅和会長をはじめ、冨田哲郎審議員会議長と12人の副会長が出席、G7各国・地域からは25人が参集した。
本特集では、B7東京サミットの概要を紹介するとともに、5月19~21日のG7広島サミットに向けて取りまとめた「B7東京サミット共同宣言」、G7広島サミットならびに経団連が参加したG7関連会合の模様、さらにはB7東京サミットの意義に関する海外有識者の寄稿を掲載する。
2023年5月号
バイオ産業は、医薬品のみならず、素材、食品、繊維、エネルギーなど、あらゆる分野で飛躍的な拡大を見せており、持続的な経済成長のみならず、今後、地球温暖化、資源制約、食糧危機、海洋汚染、新興感染症・難病など世界が直面している様々な社会課題の解決に重要な役割を果たすと期待されている。こうした中、経団連では2022年にバイオエコノミー委員会を新設し、今般、提言「バイオトランスフォーメーション(BX)戦略 ─BX for Sustainable Future」を公表した。
2023年4月号
経団連が掲げる「サステイナブルな資本主義」の深掘りと実践を目的として、21世紀政策研究所では「資本主義・民主主義研究プロジェクト」を推進し、資本主義の未来や目指すべき社会について、様々な角度から検討を深めている。
本座談会では、哲学、経済学、文化人類学、経済史学など、各界第一線の研究者が一堂に会し、社会性の視座のもと、資本主義のこれまでと今後のあり方について、対話を行った。
2023年3月号
足元では、不安定な国際情勢によって原材料などの価格が高騰し、さらに急速な円安の進行等を要因として物価上昇が続いている。あわせて、DX・GXの推進による産業構造の変革とそれに伴う成長産業・分野等への円滑な労働移動を通じた我が国全体の生産性向上が喫緊の課題となっている。
こうした状況のもと、我が国経済の安定的かつ持続的な成長のためには、「成長と分配の好循環」の実現が必要である。「人への投資」をさらに促進し、イノベーション創出と労働生産性向上などを通じて、「構造的な賃金引上げ」と「分厚い中間層の形成」「成長と分配の好循環」につなげていくことが望まれる。
2023年2月号
資源循環に関し我が国では、3R(Reduce、Reuse、Recycle)推進及び適正処理の徹底等を通じた取り組みが一定の成果を挙げてきた。こうした中、世界人口の増加に伴う資源消費量の増大や、昨今の国際情勢に端を発する資源供給の不安定化への懸念から、経済安全保障の観点からも、我が国におけるサーキュラー・エコノミー(循環経済)の促進が求められている。
欧州では、サーキュラー・エコノミーの促進を、環境問題への対応としてのみ捉えるのではなく産業政策として位置付け、経済の仕組み自体を変え、成長につなげていくことを掲げている。
我が国においても、これまでの循環型社会の形成において蓄積した技術やノウハウを強みとし、中長期的な競争力強化につなげていくことが重要である。
そこで本特集では、国内外のサーキュラー・エコノミーを巡る議論や動向を踏まえ、サーキュラー・エコノミー促進の重要性、経営トップの意識改革、社会全体での機運醸成に向けた方策などを議論する。
Diversity (多様性)、Equity (公平性)、Inclusion (包摂性) とは、イノベーションを生み出し、持続的な成長を図るための土壌。
今までにない組み合わせを発見する。今までとは見方を変えてみる。イノベーションは、そこから始まる。
だから組み合わせも見方も多様なほうがよい。そして多様さを楽しめる姿勢が大事。
こうした認識のもと、経団連では、博報堂の研究機関 UNIVERSITY of CREATIVITY と共同で様々な分野のイノベーターにインタビューを行い、その模様をシリーズ配信しています。
2023年1月号
2002年5月に経済団体連合会と日本経営者団体連盟が統合し、現在の日本経済団体連合会が誕生して20年の節目を迎えた。
本特集では、昨年10月に開催したシンポジウムの模様を紹介する。
あわせて、統合後20年の歩みを振り返りつつ、「2050年の日本、世界の姿」にかかわる有識者解説などを踏まえ、今後の経団連の針路を展望する。