企業がグローバルな事業活動を展開するにあたっては、世界各地で頻発するテロリズムについてリスクを的確に把握するとともに、実効的な危機管理体制を構築していくことが重要な課題である。また、G20大阪サミットやラグビーワールドカップ、即位礼正殿の儀等、一連の世界的なイベントを大過なく実施できたとはいえ、今後も2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会や2025年日本国際博覧会等の大規模国際イベントを控え、国内で引き続き万全のテロ対策を講じていくことが求められている。
そこで、本対談では、わが国企業を取り巻く最新の国際テロ情勢を概観するとともに、国内外で有効な対策を講じるべく、わが国官民が果たすべき役割等について語り合った。
そこで、本対談では、わが国企業を取り巻く最新の国際テロ情勢を概観するとともに、国内外で有効な対策を講じるべく、わが国官民が果たすべき役割等について語り合った。
中川清明(公安調査庁長官)
近年、邦人やわが国権益に被害をもたらすテロ事件が相次ぎ、テロ対策の重要性は高まっている。国際テロ組織ISILなどの過激思想は世界に拡散し、引き続き、世界各地でテロが発生している。2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を控える日本にテロの脅威が及ばないよう、関連動向を注視している。講演会や「国際テロリズム要覧」などを通じて、今後のテロ情勢を国民にも周知していきたい。
大林剛郎(経団連外交委員長/大林組会長)
企業のグローバル化が進むなか、テロやパンデミックにどのような対策を取るか、われわれはどう対処すべきかを考えていく段階にある。邦人がテロの標的となり、実際に非常事態に遭った場合に、現地での安全確保やさまざまな交渉を一企業だけで行うことには限界があり、政府や外務省をはじめとした各省庁からの支援が必要とされる。われわれはまずテロに関する適切な情報を得ること、何か起きた場合に備えてどう対応するかを考えることが大事である。
- ■ テロ対策の位置付け
- 「国際テロリズム要覧」の発行
概要と作成の背景 - ■ 企業の海外展開における支援体制
- 経済外交の推進と官民連携の重要性
- 建設業界の海外展開とその支援
- ■ テロの脅威と邦人被害の状況
- 最新の国際テロ情勢
- わが国をめぐる国際テロの脅威