新型コロナウイルスの感染拡大は、日本が抱えていた法制度上の課題を浮き彫りにした。これを奇貨として、社会全体のDX、Society 5.0の実現に向けて未来志向の規制・制度を構築することが不可欠である。社会が抜本的に変わろうとしている今、技術の進歩に柔軟かつ迅速に対応し、イノベーションを促進する規制・制度の構築が何よりも求められている。本座談会では、政府、経済界、スタートアップ、有識者、それぞれの立場から、Society 5.0時代の規制・制度のあり方、課題について議論する。
月刊 経団連 2020年 バックナンバー
2020年11月号
企業のコロナ禍への対応、ウィズ・ポストコロナ時代の成長の両面から、投資家の間では、デジタルトランスフォーメーション(DX)やサステナビリティに取り組む企業への関心が高まっている。この機運を捉え、Society 5.0 for SDGs実現を金融面から促すべく、「ESG投資の進化(課題解決イノベーションを後押しするポジティブな投資手法に進化させる)」を図っていかなければならない。また、そのためには、企業と投資家による建設的対話の促進(エンゲージメント)も欠かせない。本座談会では、ウィズ・ポストコロナ時代のESG投資の進化の在り方、建設的な対話促進の課題、今後の企業と投資家、ステークホルダーとの連携・協働への期待などについて議論する。
2020年10月号
近年、オープンイノベーション志向の高まりを背景に、大手企業によるスタートアップ投資が拡大してきた。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は、好調だったスタートアップの資金調達環境にも影響を及ぼしている。コロナ危機によってデジタル化や働き方についての社会課題も浮き彫りとなり、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進の圧力が高まった。その主な担い手であるスタートアップの社会的役割は、これまで以上に重要になってきた。本座談会では、スタートアップのさらなる活性化のために、現在のスタートアップ・エコシステムの課題や今後の振興策について議論する。
2020年9月号
新型コロナウイルス感染症が全世界に影を落とし、人々の健康と安全を脅かしている。感染拡大を防ぐため、各国は都市封鎖や国境をまたいだ往来の禁止など、人の移動を厳しく制限し、世界的な経済活動の停滞が生じている。経済活動を再開すれば、感染再拡大のリスクが高まるという、これまでにない困難な経済運営が迫られている。すでに、企業活動にも甚大な影響が生じており、企業は事業の継続と雇用の維持を最優先に必死の努力を続けている。感染防止と経済再生の両立に向けて、政府、自治体、医療関係者、経済界、専門家などのすべての関係者が叡智を出し合って、新しい経済社会構造を確立していく必要がある。
2020年8月号
デジタルトランスフォーメーション(DX)によって、社会のあり方は根本から変革を遂げる。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が猛威を振るうなか、各企業はDXを通してビジネスモデルの転換を図ることが急務となっている。
本座談会では、2020年5月に公表した提言「Digital Transformation (DX) ~価値の協創で未来をひらく~」の内容を踏まえ、with/postコロナの時代に向けて、「Society 5.0」のビジョンとともに日本社会の将来像について議論する。
2020年7月号
今次総会は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、中西会長を中心に理事のみの参加で開催した。2019年度事業報告および決算が報告されたほか、4名の新副会長を含む新体制を決定するとともに、2020年度事業方針および収支予算を承認した。
2020年6月号
2019年1月に設置された「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」(以下、産学協議会)では、大学教育のあり方や、大学で育成された人材の企業での雇用・処遇等について、経済界と国公私立大学のトップ同士が直接、意見交換を行い、今般、報告書「Society 5.0に向けた大学教育と採用に関する考え方」を取りまとめた。産学協議会の意義と今後の展望について、企業側と大学側それぞれの座長(大学側は当時)に話を聞いた。
2020年5月号
近年、わが国において、台風による大規模水害や地震等、さまざまな自然災害の規模・頻度が増している。早急に従来の想定を再検証し、災害対策のあり方についてあらためて検討しなければならない。政府、自治体には、人口動態やSociety 5.0をはじめとする今後の社会像を踏まえ、公共事業の経済性に配慮しつつ、老朽化したインフラの整備も含めた災害対策の強化を行うことが求められる。一方、経済界としても、事業活動の維持継続や早期復旧に向けた体制整備に万全を期すとともに、新たな災害対策技術の開発・社会実装に取り組む必要があろう。本座談会では、Society 5.0時代の災害対策のあり方を展望するとともに、今後、政府・経済界に求められる取り組みを整理する。
2020年4月号
地球規模の環境課題に対する国内外の関心が高まり、パリ協定やSDGsの採択、ESG投資の拡大などを背景に、企業の行動に大きな期待が寄せられている。経団連は1990年代から「気候変動」「資源循環」「生物多様性」の3分野を中心に、経済界による自主的取り組みを推進してきた。近年は、幅広い地球規模の課題を統合的にとらえながら、企業経営の重要課題の1つに据えて事業活動を遂行していくことが求められるとの認識のもと、「環境統合型経営」を提唱するとともに、気候変動問題に関し、2019年12月に「チャレンジ・ゼロ」構想を打ち出した。本座談会では、経団連の推進する自主的行動の意義を再確認しつつ、「環境と成長の好循環」の実現の鍵を握る企業が「環境統合型経営」を実践している事例や課題について議論を深めた。
2020年3月号
今年1月に公表された「2020年版経営労働政策特別委員会報告」では、Society 5.0時代を展望して、働き手のエンゲージメント向上を特に強調し、アウトプットを重視する働き方改革「フェーズⅡ」への深化、自律的なキャリア形成の支援の重要性、日本型雇用システムの課題と今後の方向性等について記述している。
本座談会では、Society 5.0時代にふさわしい働き方に向けて、各社の取り組みを紹介しつつ、働き方改革の深化、人材育成や雇用システムのあり方について検討する。さらに、2020年版経労委報告の内容を踏まえ、今次春季労使交渉・協議における経営側の基本スタンスを明らかにし、主要な論点についても議論していく。
2020年2月号
若者や将来世代も含めたすべての世代が安心できる明るい未来をつくるためには、成長戦略・財政健全化・全世代型社会保障の構築を一体的に図らなければならない。こうした観点から、経団連は、2019年度、新たに「経済構造改革会議」を設置し、関係委員会の連携のもと、検討を進めてきた。2019年11月には、「経済成長・財政・社会保障の一体改革による安心の確保に向けて─経済構造改革に関する提言」を取りまとめ、政府・与党をはじめとする関係方面にその実現を働きかけている。
政府の経済財政諮問会議や全世代型社会保障検討会議は、夏の「骨太の方針2020」の取りまとめに向け、経済構造改革に関する検討を行っている。本座談会では、こうした状況を踏まえつつ、経済構造改革に向けた今後の課題について、国民的な理解の醸成を図る観点も念頭に置いて議論を行った。
2020年1月号
米中覇権争いや北朝鮮によるミサイル実験、ホルムズ海峡の問題など、地政学的な緊張が高まっている。今後、企業が事業を行うにあたっては、世界の外交・安全保障環境を俯瞰し、これらを一体的に検討する視点が不可欠となる。そこで、今回の座談会では、安全保障環境の変化が各国の政策・企業活動に及ぼす影響について概括するとともに、民間外交のあり方について展望する。