渡邉光一郎(経団連副会長/第一生命ホールディングス会長)
Society 5.0のゴールにSDGsを設定し、成長戦略と一貫性を持たせたことで企業の受け止め方は大きく変わった。当社も中期経営計画「CONNECT2020」において、SDGsと親和性のある「QOL向上への貢献」を戦略の中心に据え、取り組んでいる。また、ESG投資としてのインパクト投資を行い、産学連携や資金提供の課題を解決し、スタートアップ企業の育成を目指している。「三方よし」に始まる日本企業の経営は「Society 5.0 for SDGs」と親和性が高く、多様な業界とのCONNECTを広げる意味でも価値がある。
中山讓治(経団連企業行動・SDGs委員長/第一三共会長)
SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」は当社事業の存在意義そのものであることを明確にすることで、従業員のSDGsへの理解も進みやすくなった。創薬開発のコストとリスク、価値評価とファイナンス、社会保障制度との共存等の経営課題は、製薬企業の継続性と同時にこれからの医療、社会保障のあり方、さらにはSDGsが掲げるその他のサステナビリティー課題への答えにつながると考える。創薬を取り巻くエコシステムには科学リテラシーの高いベンチャー投資家が必要であり、国内外問わず、グローバルに形成すべき。
大野 泉(国際協力機構(JICA)研究所長)
企業からのさまざまな事業提案を通して、経営戦略としての取り組みを実感している。今後、先進事例を産業界全体に広げてほしい。JICAでは、現地ネットワークを活かし、途上国の課題を企業に具体的に提示し、企業とのマッチングを図る仕組みを整備するなど、エコシステム形成に向けて積極的に取り組みを進めている。日本がすでに持つ「三方よし」の精神をさらに広げて、「地球よし」「未来よし」という視点を持ち続けなくてはならない。
加藤敬太(司会:経団連企業行動・SDGs委員会企画部会長/積水化学工業代表取締役専務執行役員)
SDGs達成のため社会課題の解決に取り組むことは、投資家も含めて企業価値やサステナビリティーを向上させ、将来に向けて企業を存続させることにもつながる。経団連ではSDGsに関する事例集を公開しているが、そういった企業の取り組みが投資家やステークホルダーから見た企業価値の向上につながると認知されれば大きなドライブがかかるだろう。インパクト評価についてはまだ基準となる評価の方法がなく、当社では環境貢献に対する貢献度と収益インパクトを明確に打ち出すことを重要と考えているが、各社にとって評価方法は今後も残る課題といえる。
- ■ SDGs達成に向けた取り組みの現状
- SDGsを“自分ごと”として取り組む熱意
- 社会課題の解決への取り組みが企業の持続的成長につながる
- 先進事例の積極発信で産業界全体に波及を
- ■ SDGsの経営への統合
- QOL向上という総合的な付加価値を届けるために
- 医薬品産業の課題は研究開発の投資リスクと的確な価値評価
- ■ 規模拡大のための「資金」と「イノベーション」
- ESG投資を通じて産学連携や資金提供の課題解決に貢献
- 創薬をめぐるグローバルなエコシステムへの期待
- 発想の転換
~企業連携のもとSDGsが目指す世界の実現への貢献 - ■ インパクト評価のあり方をめぐって
- 評価方法や指標の確立を目指す動き
- 環境貢献度と収益インパクトを明確に打ち出すことが重要
- 日本企業による非財務価値の加味が大きな価値創造を達成する
- 日本は世界全体の流れを変える先導役に
- 政府・企業のグローバルな連携がより総合的な貢献につながる
- 日本の「三方よし」精神から「地球よし」「未来よし」へ