東京オリンピックの開会式まで1000日を切った。4年前のIOC(国際オリンピック委員会)総会で東京開催が決まって以来、多くの企業や自治体が新しい技術やサービスを開発し、さまざまな構想を検討してきた。いよいよ、それらを具現化する段階にきている。これから日本、東京を舞台に何が起こるのか、期待で胸が高鳴る。
東京2020大会に向けた経済界の取り組みを2つ紹介する。まず、経団連のオリンピック・パラリンピック等推進委員会では、「スポーツの現場訪問」などに取り組んでいる。企業のトップが障がい者スポーツなどの現場を訪れ、選手や競技を支えるスタッフと交流し、その内容を広く発信している。今まで注目を浴びることの少なかった競技にも多くの人々に興味を持ってもらい、東京2020大会を盛り上げていこうというもの。実際にスポーツの現場で、競技を体験し、選手と交流することで、競技の面白さを知り、選手を応援したいという気持ちが高まるとともに、障がい者の方々の悩みを理解する良い機会となった。ハードウエアのバリアフリーはもちろんだが、人々の意識のなかにあるバリアをなくす。いわゆる「心のバリアフリー」の重要性にもあらためて気づかされた。
また、経団連、商工会議所、経済同友会などで構成されるオリンピック・パラリンピック等経済界協議会では、東京2020大会のレガシー形成に向けて、ソフトレガシー(文化・ムーブメント)と、ハードレガシー(科学技術・イノベーション)をテーマに全国各地の自治体や住民を巻き込み、さまざまなプログラムを展開している。
1964年の東京大会は、日本の高度経済成長を確固たるものにした。では、東京2020大会では何を実現するのか。世界中から訪れる人々が、言語の違いや障がいの有無にかかわらず、新しい技術やサービスを通して、行きたい場所にスムーズに移動し、滞在を安全かつ快適に楽しめる。さらに「心のバリアフリー」を通じて、あらゆる人々が、お互いの人権や尊厳を大切にし、支え合い、誰もが活き活きとした人生を享受できる共生社会の実現につなげていきたい。