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月刊 経団連  座談会・対談 Society 5.0の鍵を握るAIと人の関係

羽生 善治
将棋棋士

安西 祐一郎
日本学術振興会理事長

山西 健一郎
経団連副会長、未来産業・技術委員長
三菱電機会長

PDF形式にて全文公開中

山西 健一郎(経団連副会長、未来産業・技術委員長/三菱電機会長)
Society 5.0は、日本再興に向けた成長戦略の中核となるとともに、日本や世界が抱える社会課題の解決に貢献するものと考えている。Society 5.0で変わる人と技術の関係を考えるうえで自動運転は良い事例になるだろう。自動運転が実現すれば、過疎地域の公共交通維持、高齢者・買い物弱者の新たな交通手段の確保、運輸業界のドライバー不足解消などに貢献できる。当社も、自動運転に不可欠な高精度3次元地図の構築に、オープンイノベーションで取り組んできた。Society 5.0の実現には、省庁・法制度・技術・人材・社会受容の「5つの壁」を突破する必要があり、産業界としてもオープンイノベーションを推進していく。

安西 祐一郎(日本学術振興会理事長)
「人工知能技術戦略会議」は、今年3月、「人工知能の研究開発目標と産業化のロードマップ」を発表した。そこでは、生産性、健康と医療・介護、空間の移動、セキュリティの4つが主要テーマとして掲げられている。最初にSociety 5.0のコンセプトを示した「第5期科学技術基本計画」では、多様性や柔軟性のある社会、個人が生き生きと暮らせる社会が目指されている。AI技術によって産業構造、就業構造が変わることの不安は理解できるが、閉塞感を打破し、より良い社会に変革するためのツールとして、ポジティブにとらえた方が有益だと考える。

羽生 善治(将棋棋士)
将棋ソフトは、オープンソース化することによって、プロ棋士が勝てないほど強くなった。一方、将棋ソフト同士の対局を分析することで、従来の定跡、セオリーに変化が起きており、最近は使われない指し方が「温故知新」で見直されるなど、プラスの影響がある。AIが社会に受容されるには、説明が不可能なブラックボックスとなっている問題を解決する必要があろう。AIがどんなに人間に近づいても、例えば「ゆるキャラ」のような“いい加減なもの”はつくり出せない。ツールとして活用することで、さまざまな分野において課題が解決されていくことを期待する。

根本 勝則(司会:経団連常務理事)

  • ■ IoT、ビッグデータ、AI等の技術の現状をどうみるか
  • 経団連が推進する「Society 5.0」とは
  • AIの産業化に向けたロードマップ
  • 将棋ソフトはオープンソースで強くなった
  • ビッグデータの活用はどのぐらい進んでいるのか
  • ディープラーニングとシャローラーニング
  • ■ Society 5.0で変わる人と技術の関係
  • AIが人の美意識・感性を変えていく
  • 自動運転が日本社会に与えるインパクト
  • AIは人間を超えられるか
  • AIが「ノーベル賞を取る」ために欠けているもの
  • AIには「トロッコ問題」を解決できない
  • ■ Society 5.0の実現に向けて
  • Society 5.0実現の鍵はセキュリティ問題の解決
  • 「自前主義」からオープンイノベーションへ
  • AIを活かした「教育」に期待する
  • 「産業構造を壊す」という覚悟を持て

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