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月刊 経団連  座談会・対談 あらためて考えるTPP協定の意義と活用、今後の通商戦略

神戸司郎
司会:経団連通商政策委員会企画部会長
ソニー執行役EVP

鶴岡公二
内閣官房TPP政府対策本部首席交渉官

十倉雅和
経団連副会長・農業活性化委員長
住友化学社長

白石 隆
政策研究大学院大学学長

飯島彰己
経団連副会長
三井物産会長

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飯島彰己 (経団連副会長/三井物産会長)
経団連は、政府部内で検討が始まった2010年ごろから一貫して、TPP交渉への早期参加を働きかけてきた。交渉参加決定後は、協定に盛り込むべき具体的な要望を政府に提出する一方、交渉会合が開催される現地にミッションを派遣するなど、交渉推進を後押しした。TPPは日本の成長戦略の要である。グローバルにビジネスを展開する企業はもとより、農業を含むあらゆる産業、中小企業を含むあらゆる規模の事業者が、積極的に活用することが求められる。

白石 隆 (政策研究大学院大学学長)
日本が「高所得国の罠」から抜け出し、経済成長を続けるためには、TPP参加を通じて産業構造の転換に取り組むことが不可欠である。これまでの経済連携協定とTPPの最大の違いは、「財」の貿易だけでなく、「サービス」「知財」「政府調達」などが含まれている点である。まさに21世紀型の通商ルールだといえる。大学としても、TPPを活用できるような人材を供給するために、大学改革、グローバル人材育成などがますます重要となる。

十倉雅和 (経団連副会長・農業活性化委員長/住友化学社長)
TPP合意は、農業分野にとって本格的な制度見直し・改革を加速する契機となった。TPP参加による農業の成長産業化を実現するために、経済界と農業界が互いの価値観を共有しつつ、共通の利益・目標に向けて連携していくことが重要である。経団連では、農業界との連携を第2ステージに引き上げ、連携プラットフォームを設置し、マッチング機能を強化していく。化学産業としては、関税撤廃のメリットを享受するとともに、累積原産地規則などを活用してバリューチェーンの最適化を図りたい。

鶴岡公二 (内閣官房TPP政府対策本部首席交渉官)
TPP推進に向けた経団連をはじめとする経済界の協力に感謝している。TPP交渉の成功は、安倍総理、甘利経済再生(TPP)担当大臣(当時)の強力なリーダーシップのもと、内閣官房に設置されたTPP政府対策本部が一枚岩で交渉にあたったことが大きい。日中韓FTA、RCEPさらにはFTAAPの構築など、今後も困難な交渉が予想されるが、今回と同様の一元化された態勢で臨めば、力を発揮できるはずだ。TPPと同等の水準を確保するべく、粘り強く交渉にあたらなければならない。

神戸司郎 (司会:経団連通商政策委員会企画部会長/ソニー執行役EVP)
TPPでつくられたルールには、物品のみならず、情報の移転・コンテンツ・サービスに関する規定が盛り込まれており、時代を先取りしている。今後のFTA、EPAなどのルールづくりのモデルとなることが期待される。一方、TPPのようなメガFTAだけでは全世界のバリューチェーンをカバーすることはできず、複数のルールの混在や不整合といった問題が拡大する。今後、分野別に交渉を進め、その成果をWTOのルールへつなげるような取り組みも必要だろう。

  • ●TPP協定の意義
    ~交渉参加と妥結への道のりを振り返って
  • TPP参加で「高所得国の罠」から抜け出す
  • 歴史的合意に至るまでの経団連の取り組み
  • 農業の成長産業化を目指して
  • 日本の交渉参加がターニングポイントとなった
  • ●TPP協定を通じたバリューチェーンの拡大をどう活かすか
  • 物品のみならずコンテンツやサービスの自由貿易に期待
  • 商社としてTPPを最大限に活用する
  • 累積原産地規則を活用し、バリューチェーンを最適化する
  • 東南アジア各国はTPPをテコに「中所得国の罠」を回避せよ
  • TPPが今後の経済連携の基準になる
  • ●TPPと日本の成長戦略
  • 農業者、中小企業にとってもTPPはチャンスとなり得る
  • 経済界と農業界のマッチングを進める
  • TPP参加は「日本はオープンだ」というシグナルになる
  • TPPを活用できる人材の育成を
  • ●TPPの先を見据えたグローバルルールの構築
  • 交渉体制を一元化し、強いリーダーシップを発揮できた
  • アジェンダ設定の段階から関与していくことが重要
  • 今後の協定においてTPPの水準を維持することを期待
  • 先進国による質の高い通商秩序づくりが重要
  • 分野別に交渉を進め、WTOのルールへつなげるべき

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