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月刊 経団連  座談会・対談 人口減少下での経済の好循環と企業の持続的成長の実現

湯元健治
日本総合研究所副理事長

進藤清貴
経団連雇用政策委員長
王子ホールディングス会長

内山田竹志
経団連副会長
トヨタ自動車会長

工藤泰三
経団連副会長・経営労働政策特別委員長
日本郵船会長

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工藤泰三 (経団連副会長・経営労働政策特別委員長/日本郵船会長)
今次労使交渉・協議に向けた「経営側の基本スタンス」として、経済の好循環を回すという社会的要請を受け、2015年を上回る「年収ベースの賃金引き上げ」について、前向きで踏み込んだ検討が望まれる。賃金引き上げにあたっては、月例賃金の一律的な水準引き上げ(全体的ベースアップ)に限らず、若年層や子育て世代への重点配分(重点的ベースアップ)、賞与・一時金の増額、各種手当の見直しなど、さまざまな選択肢がある。

内山田竹志 (経団連副会長/トヨタ自動車会長)
当社は、多種多様な人たちが能力を十分に発揮できる環境づくりを目指している。現在、特に力を入れているのは女性の活躍推進である。理系の女性を増やすために「トヨタ女性技術者育成基金」を設立し、大いに後押ししている。労使関係は企業の競争力を強化するうえで極めて重要な要素である。そのため、会社と組合のコミュニケーションをとても重視し、春の労使協議会においても、経営課題や職場が抱える課題、働き方など幅広いテーマについて議論している。賃金は重要ではあるものの、そうした労使協議のテーマの一つと位置付けている。

進藤清貴 (経団連雇用政策委員長/王子ホールディングス会長)
当社は、2015年4月にダイバーシティ推進室を設置し、ダイバーシティ経営を本格化させた。ダイバーシティ推進がかけ声で終わらないよう、スローガンとロゴマークをつくり、各カンパニーのトップをメンバーとするダイバーシティ推進委員会を開催している。今次労使交渉・協議にあたっては、グループ各社が支払能力に応じて賃金を決定するが、賃金引き上げは基本的に賞与で行うというのがグループ共通の指針である。今後、月例賃金の水準を引き上げる場合は、子育て世代に厚くしたい。

湯元健治 (日本総合研究所副理事長)
日本企業を取り巻く環境は、昨年以上に改善されたとはいえず、グローバルリスクの顕在化で不透明感が増している。今次労使交渉・協議では、3年連続のベースアップが実現することが望ましい。しかし、物価上昇率がゼロに落ちていることもあり、昨年を上回るかは微妙だろう。労使は運命共同体であり、パートナーとして、企業が抱える中長期的な課題について認識を共有し、対応策を協議していくべきである。課題解決型の労使交渉・協議に変えていくことが求められている。

椋田哲史 (司会:経団連専務理事)

  • ●多様な人材の活躍と働き方改革によるイノベーション創出
  • 人口減少社会における企業戦略とは?
  • 多種多様な人たちが能力を発揮できる環境づくり
  • トップが変わらなければダイバーシティは進まない
  • 外国人が圧倒的多数のなかで日本人が果たす役割
  • 「ワーク・ライフ・バランス」の向上を目指して
  • 仕事と介護の両立は社会的なニーズ
  • 研修と人事ローテーションで働き方を身に付ける
  • トップのコミットメント、成果主義、多様な制度
  • ●2016年春季労使交渉・協議に対する経営側の基本姿勢
  • グローバルリスクの顕在化で不透明感が増している
  • 2016年版経労委報告「経営側の基本スタンス」のポイント
  • 良い労使関係は企業の競争力の源泉
  • 賃金引き上げは子育て世代に厚くしたい
  • 非正規雇用の正規化で人口減少に歯止めを
  • 「春闘型」から「課題解決型」の労使交渉・協議へ変えていく

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