中川順子 (経団連女性の活躍推進委員会企画部会長/野村ホールディングス執行役員)
女性活躍推進は、成長戦略の柱として位置付けられ、企業においてもさまざまな取り組みが進んでいる。女性の活躍を推進する企業風土をつくり上げ、浸透、発展させていくために、企業トップによる強い意思表示とコミットメントに始まり、さまざまな階層、さまざまな場で絶え間ない努力が行われている。また、働く女性としては、管理職になれば、取り巻く環境や仕事の幅も変わり苦労があるが、それを越えるメリットがある。また、自分が助けられていることに気づけば、助けが必要な人に対して手を差し伸べることができ、リーダーはそれをより可能にする。
吉田久子 (第一生命保険人事部補佐役(グループD&I推進担当))
第一生命は、経営品質の向上を通じてグループ価値の向上を目指すDSR経営に取り組んでいる。ダイバーシティ&インクルージョンの推進については、人財は競争力の源泉であり、従業員の活躍なくして企業の成長はないという考えのもと「経営戦略そのものである」と位置付けている。従業員の大半を占める女性活躍推進には、能力開発支援とワーク・ライフ・バランスの推進、意識・風土改革に取り組んできた。さらに2016年4月までに女性管理職比率20%以上という目標を掲げ、女性リーダー育成の取り組みを強化している。
神宮純緒 (日立製作所人財統括本部ダイバーシティ推進センタ部長代理)
機械工学等の分野を履修する「理系女子」がそもそも少なく、社員の約8割をエンジニアで占める日立における女性総合職の母集団形成は厳しい。そのような状況下、日立は、経団連を通じて政府や関係機関に理系女子を増やすよう申し入れる一方、大学と連携してキャリアセミナーを開催するなどの活動も積極的に行っている。ダイバーシティ推進に関しては、グローバル化に対応した競争力強化のための経営戦略として位置付け、さまざまな取り組みを通じて社内への浸透を図っている。女性活躍推進については、2015年度までに女性社員を役員に登用すること、2020年度までに日本国内の女性管理職を1000人とすることを社内外に公表した。
尾白克子 (キリン人事部多様性推進室長)
キリンでは、2006年からダイバーシティの取り組みをはじめ、ダイバーシティ推進は、企業の価値を高めるために必要であるという認識のもと、経営戦略に位置付けられている。女性活躍推進に関しては、「トップダウンによる機会提供と環境整備」と「ボトムアップによるキャリア支援と組織風土改革」を両輪に取り組んできた。昨年、数値目標として、女性リーダーを現在の100人から2021年までに300人に増やすことを社内外に公表し、候補となる女性従業員を絞って、意識改革を進めている。
- ●各社におけるダイバーシティ推進の経緯・取り組み状況
- 女性の能力開発支援と継続就業できる環境整備
- 企業の競争力強化のためのダイバーシティ推進
- トップダウンとボトムアップの両輪で取り組む
- 数値目標をコミットして女性リーダーの育成を目指す
- 業界トップを目指して各社の取り組みを「見える化」
- 数値目標と女性のスキルアップ施策をセットで打ち出す
- 女性従業員も男性従業員も働きやすい職場環境に
~ワークスタイルの変革 - 女性従業員を「前倒しのキャリア」で育成する
- 仕事の面白さを知ることが出産後の早期復帰につながる
- ●ダイバーシティにかかる従業員の意識、企業風土の醸成
- 女性が「自分たちがやらなければ」という意識に
- 男女で平準化していく方向性が必要
- 女性管理職による若手総合職へのメンタリングを充実
- 集合研修と個別研修のどちらが効果的か
- ●管理職としての体験から
- 周りの男性管理職をロールモデルにした
- 不安を抱える女性従業員を引き上げるマインドを
- 管理職となることに戸惑う女性の背中を押す
- 失敗しても死ぬわけじゃない、どん欲にチャレンジしてほしい
- 女性にとって人事異動における苦労とは
- ●女性へのエール
- ライフイベントとキャリアパスの調整が大切
- しなやかな生き方ができる「働く女性」になってほしい
- 周りから支援を受けられるような状況をつくること