世界経済フォーラム等の国際会議に参加する機会や海外出張の折に、最近とみに感じるのは、日本が国際社会における存在感や海外の人々の関心を確実に取り戻しつつあるという手応えである。安倍政権の第一の矢である金融緩和と第二の矢である財政出動が起爆剤となり、景況感が好転した。日本経済の再生に世界が熱いまなざしを向けている今こそ、国際社会での日本の存在感を高める千載一遇の機会であり、積年の課題を克服して、新たな成長軌道を歩む姿を世界に示していく時である。日本経済の再生には、第三の矢たる成長戦略こそが最も重要である。政府は具体的な施策を迅速に実行し、目に見える成果を示していけるかどうかが世界から問われている。
日本は、国を開いて外国と切磋琢磨しながら未来を開くという覚悟を固め、手を打っている。先般、安倍総理の豪州と中南米訪問に同行する機会を得た。豪州では日豪EPA(経済連携協定)の締結が実現し、両国の経済関係が新たな段階に引き上げられた。官民が一体となって幅広いレベルで豪州側との関係を深め、日豪両国の企業が相互にビジネスを拡大していくうえで環境整備が進んだことは大きな成果である。中南米では五カ国を訪問し、各国首脳との会合を通じて関係構築の深化とともに日本の存在感をしっかりと示すことができ、インフラ輸出や資源確保といった中南米諸国の成長を取り込む土台が整った。
このようなグローバル環境の変化や機会をとらえて、日本企業が勝ち抜くためには、グローバル化はもちろんのこと、日本が誇る科学技術の強みを最大限活かすことも重要である。そのためには、産官学が連携してイノベーションを推進し、最先端の製品・サービス、ビジネスモデルを創造し、世界に発信していくことが必要である。官民がこれまで以上にさまざまな局面で連携を深め、政府の成長戦略と経済界の志が良き化学反応を起こし、異次元の日本活性化が実現することを強く期待したい。