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月刊 経団連  座談会・対談 女性の活躍推進に向けて

中川順子
司会:経団連企業行動委員会女性の活躍推進部会長
野村ホールディングス執行役員

前田新造
経団連審議員会副議長・少子化対策委員会共同委員長
資生堂会長兼社長

藤本圭子
セブン-イレブン・ジャパン執行役員

大宮英明
経団連副会長・企業行動委員長
三菱重工業会長

國井秀子
芝浦工業大学学長補佐・大学院工学マネジメント研究科教授

三浦 惺
経団連副会長・労働法規委員長
日本電信電話会長

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三浦 惺 (経団連副会長・労働法規委員長/日本電信電話会長)
グローバル市場においてイノベーションを起こすためには多様な人材が活躍することが重要であり、そのなかで女性が力を発揮することは新たな価値創造のために必須といえる。女性の活躍は、企業にとって成長を促す原動力になるとともに、多様な働き方を議論する良い機会であり、BPRの促進が期待できる。制度の充実により、M字カーブのへこみは緩やかになったが、業務慣行・長時間労働の見直しやトップコミットメント、そして男性の意識改革など、女性の活躍を実現するための課題は多い。

國井秀子 (芝浦工業大学学長補佐・大学院工学マネジメント研究科教授)
日本社会では、育児や介護などで、男性より女性に負荷がかかっている。産業革命以降に固定化した現在のライフスタイルやワークスタイルを見直さなければならない。日本社会に定着した男女の役割分担論を打破するには、小中学校でジェンダー教育を行うなど、社会全体への啓発活動を粘り強く行っていく必要がある。また、イノベーションやグローバル化への対応を考えると、企業にとっても女性の活躍促進は大きなメリットがあることを認識すべきである。

大宮英明 (経団連副会長・企業行動委員長/三菱重工業会長)
女性の活躍促進には、女性の就労を維持することで有能な人材を確保するという量的な側面と、新たな価値の創造という質的な側面がある。市場のエンドユーザーの半数が女性であることを考えれば、CSRや商品開発といった分野だけでなく、経営戦略にも女性の視点を取り入れるべきだ。当社では、次世代育成・両立支援関連の制度を拡充しているが、今後は、高齢化の進行に伴い、介護休業者が大幅に増加することを前提に制度設計を行っていきたい。

藤本圭子 (セブン-イレブン・ジャパン執行役員)
セブン&アイ・ホールディングスでは、経営トップが早くから女性の登用を提唱していたこともあり、比較的、女性が活躍しやすい風土がある。昨年四月から、店長をはじめとして幹部も含め社員のほとんどが女性という店舗の運営を始めたが、組織の風通しが良くなったり、女性の職域が広がったりするなど、成果が出てきている。女性の活躍を阻む要因は、長時間労働、性別役割意識を前提とする社会の価値観にある。働き方を見直すとともに、女性の活躍推進には男性の家事・育児参加が重要であるということを認識しなければならない。

前田新造 (経団連審議員会副議長・少子化対策委員会共同委員長/資生堂会長兼社長)
日本企業がグローバル化のなかで克服すべき最大の課題は、多様化への対応であるが、日本ではとりわけ女性の活躍が遅れている。市場の半分が女性であることを考えれば、女性の価値観や知見を、企業経営に取り入れていく必要がある。女性が職務を継続するうえで、保育施設の不足は深刻な問題である。保育施設は、学校や病院と同レベルの社会インフラと認識し、待機児童ゼロを目指して国が支援していくことが必要である。

中川順子 (司会:経団連企業行動委員会女性の活躍推進部会長/野村ホールディングス執行役員)
座談会を通じ、企業が女性の活躍を進めることは、自身の企業価値向上をもたらし、あわせて、性別を問わず社員のモチベーションを高めるとともに、新しいカルチャーをも生み出す可能性があることがわかった。その点で経営戦略の大きな一要素であるといえる。女性の職域拡大には先入観を持たずに取り組み、また、すべての社員が納得できる公平な評価の仕組みを目指すことが重要である。効率性や生産性を評価する時代に入っており、働く側も、経営側も、働き方の転換を模索すべきである。

  • ●女性の活躍は企業、社会に何をもたらすか
  • 女性の活躍が企業の価値を高める
  • イノベーションを起こすには女性の活躍が必須
  • 育児と仕事の両立を支援する「カンガルースタッフ」
  • 女性中心の組織は風通しが良い
  • 産業革命以来のワークスタイルを変える
  • ●女性の活躍が進まなかった理由
  • 育児は「協力」ではなく「参加」の時代
  • 粘り強い啓発活動が必要
  • 企業上層部の男性が認識を改めるべき
  • 女性の活躍を阻む「役割分担論」
  • 保育施設は重要な社会インフラ
  • ●女性の活躍を推進するために企業にできることは何か
  • ロールモデル、ネットワーク不足が課題
  • 社長を目指す女性が活躍できる環境をつくりたい
  • 女性管理職の比率を20%にすることが目標
  • 女性にチャンスを与えるが、評価は公平に行う
  • 上司は「期待している」と部下に伝えることが大切
  • ●社会全体で取り組むべき課題は何か
  • 小中学校の段階からジェンダー教育を
  • 介護休職者の増大を前提に制度設計を
  • 男性にも育児をする権利がある

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