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月刊 経団連  座談会・対談 少子高齢化社会における住まいとまちづくり

椋田哲史
司会:経団連常務理事

松岡洋子
東京家政大学人文学部講師

関口憲一
経団連住宅政策委員長
明治安田生命保険特別顧問

阿部孝夫
川崎市長

岩沙弘道
経団連審議員会副議長、都市・地域政策委員長
三井不動産会長

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岩沙弘道 (経団連審議員会副議長、都市・地域政策委員長/三井不動産会長)
高齢者人口の数・割合の拡大に伴い、住まい、医療、介護など高齢者向けサービスの需要に供給が追いつかないことが懸念される。今後は、高齢者が一定程度いることを前提にまちづくりを進めていくべきだ。健康長寿の実現には、高齢者が経験やスキルを活かして地域社会に参加できる仕組みをつくることも大切である。当社が進める「柏の葉スマートシティ」での取り組みは、国内はもちろん海外に展開できるモデルとなることを目指している。

阿部孝夫 (川崎市長)
川崎市は、高度成長期に建設された団地などで高齢化が進む一方、再開発により若い世代の人口も増えているため、子育て支援と高齢者支援、両方の課題に取り組まなければならない。将来の人口減少期への転換を見据え、コンパクト化、長寿命化、エコ化、ユニバーサル化の「4化」をキーワードに、中長期的なまちづくりを目指している。また、川崎の産業都市としての特徴を活かし、地元企業と協力して、医療・福祉の産業化や、環境技術の開発にも取り組んでいる。

関口憲一 (経団連住宅政策委員長/明治安田生命保険特別顧問)
住宅のバリアフリー化だけでなく、社会のバリアフリー化も喫緊の課題である。高齢者が家のなかだけでなく、外でも自由にいきいきと行動できる環境を整える必要がある。また、ハード、ソフトの両面からライフステージに合わせた住み替えを促進することが重要である。健康長寿社会実現に向け、当社グループでは、「疾病予防サポートサービス」(健康保険組合の被保険者等に対し、専門スタッフが疾病予防の電話サービスを行う)事業などを展開している。

松岡洋子 (東京家政大学人文学部講師)
「エイジング・イン・プレイス」とは、住み慣れた地域で老いていくという考え方で、デンマークなどの欧州諸国においてスタンダードとなっている。施設ではなく、地域のなかで、個人のニーズに合わせてケアを受けられる仕組みづくりが必要だ。日本でも、昨年、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」が制度化され、その方向に進んでいます。今後も、高齢者向け住宅への家賃補助、高齢者の集い場の拡充など、高齢者が地域社会の主役として自らの人生を地域の人々とともに楽しむとともに、行政のイニシアティブが求められる。

椋田哲史 (司会:経団連常務理事)

  • ●少子高齢化社会における住まい・まちづくりの課題
  • 急がれる社会のバリアフリー化
  • 不可欠な地域コミュニティーの再生
  • 川崎市における高齢化の現状と対策
  • 欧州諸国における高齢者福祉の現状
  • ●少子高齢化社会に求められる住まい・まちづくりの課題
  • 高齢者の孤立化を防ぐコンパクトシティー
  • 住み替えを促進させるための仕組みづくり
  • エイジング・イン・プレイスの流れのなかでケアを考える
  • ●少子高齢化社会のもとでの経済社会の発展に向けて
  • 高齢者向け住宅の普及には行政の協力が必要
  • 産業都市として高齢化問題の解決に取り組む
  • 高齢者の健康長寿を考えた「柏の葉スマートシティ」のまちづくり
  • ヘルスケア産業の発展に向けて~保険業界の取り組み

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